ノキアは3月の中国移動5G2期基地局主設備入札にて落札にならず、4月24日夜の中国電信&中国聯通連名発表の「2020年5G SA新規工事無線主設備落札名簿」にもなかった。4月29日発表の中国聯通5Gコアネットワークにはようやく落札できたものの、ノキアにとって、中国5G基地局主設備市場を失ってしまった点が大きい。

 これをめぐって中国で大きな議論になっているので権威ある2つのメディアによる議論を紹介する。

 「5G通信」はその技術原因について、周波数対応問題と製品性能の遅れにあるとしている。

1、周波数問題
①2.6GHzへのサポートが弱い:中国移動には2.6GHzに160M帯域があり、5Gを展開しながら元現有TDD 4Gとの動的なスペクトル共有でスペクトル利用率を向上させる必要がある。ノキアの5G機器は2.6GHzについてセミダイナミックスペクトル共有のみサポートできるが、他メーカーはミリ秒レベルのフルダイナミック共有可能となっている。
②3.5GHzへのサポートが遅い: 中国電信と中国聯通は3.5GHzでそれぞれ100Mの帯域幅を所有している。両社が構築を共有する場合、AAU(アクティブアンテナ基地局)で200Mの帯域幅へのサポートが必要になる。現時点でNokiaに未だ200M帯域幅のAAUがない点が技術的致命傷となった(2020年末以降対応可能の可能性があるとされている)。

2、製品性能問題
 中国での発展状況からノキアの5G研究開発に遅れが見られている。ノキアは中国通信事業者実験室内テストにて進みが遅く、室外の実証実験においては設備性能ランキングはラスト1であり、2回目の実証実験にて淘汰され参加資格も獲得できずじまいだった。
 ノキア株式大会にてCEOが「我々は5Gにおいて数週から数カ月ほど遅れていいる。現在、取引を勝ち取るためには世界で初となる5Gネットワークのリリースを準備している」と明言している。 

 一方、捜狐(Sohu)ニュースでは、全ての原因はノキアの「傲慢」にあるとし、『報価比中興、華為還低,国際巨頭却痛失中国5G大単(見積もり価格が中興、華為のよりも低いにもかかわらず、中国5G市場での痛恨の失敗)』記事にある文章を引用した上で批判している。
 同記事には、ノキアトップ層が「中国が必要としている5G製品は海外と異なる仕様のものであり、2020年度第三四半期にて工事完了を要求している。ノキアは時間的にはそれに間に合わない」との発言も記されている。

 捜狐(Sohu)ニュースがノキアの中国市場について完全に「判断ミス」をしているとし、その理由について中国5G関連製品と海外製品の違いを見た上で、これらについてノキアがこのような基本的な判断ミスをするのか?と指摘した。その理由3つあるという。
1、中国5G周波数
中国工業情報部2017年276号文件(2017年11月10日)で5G周波数を確定し、これまで29ヶ月がある。2ヶ月前の入札開始時にやっとこの周波数を知ったのか?
2、中国5G設備はSA(Stand Alone)型の独立ネットワークであることが鉄則。工業情報化部から事業者幹部、室内テストから室外実証実験、政策的通知からトップ層の発言講話まで数しれないほどこの鉄則が出ている。
3、2019年6月6日の5Gライセンス交付時から、中国5Gは非正常的な建設姿勢と速度で推し進めようとしている政府側の意図が意識できたはず。
 これらのような基本的な判断はキノアにはなかったということだろうか?
 「ノキアの生産ラインが長すぎて利益性の評価からみても中国5G関連設備の優先順位が高くない」とも言及した。



AAU:アクティブアンテナ基地局

文章・画像共以下より抜粋引用:
5G通信(公式アカウント):
https://mp.weixin.qq.com/s/VnAZoY8g_mQJavJa2jQ1bA
捜狐新聞(Sohuニュース):
https://m.k.sohu.com/d/446360657?channelId=1&page=1
新浪財経(Sinaファイナンス):
报价比中兴、华为还低,这家国际巨头却痛失中国5G大单
https://finance.sina.com.cn/wm/2020-04-26/doc-iircuyvh9988089.shtml

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