ここ数年、中国で携帯電話料金と固定電話や家族間でのセット割引キャンペーンが多くなってきている。2022年春節と北京冬オリンピックをきっかけに、地域をまたがった通信サービスのセット割引プラン「異地同享(地域をまたがった料金・サービスのシェア)」が登場した。これは中国通信業にとって実に大きな出来事としてもとらえられる。

なぜならば、元々中国の携帯電話はサービス開始した1987年から発着分離課金と、帰属地別課金していた。通信会社の本社にあたる「総公司」は北京にあり、各省地域には子会社を持ち、それぞれ法人化し、独立した経営を行なっている。それぞれの省子会社は所轄内の市地域でさらに分社をつくり、分社間も地域裁量権が与えられている。そのような行政・組織・運営の仕組みになっているため、事実上契約した市を出て、他の市で携帯電話を使用するにはローミング料金が発生していた(市をベースとした課金が通話料金+ローミング料金で高価になるため、3Gサービス開始直前まで発信課金であり、無線市内電話とされていたPHS、小霊通が中国全国で爆発的に普及していた)。

発着分離課金は2007年から廃止し始めた。地域間ローミング料金は2009年から廃止しようということではあったが、事実上2017年ぐらいまで続いていた。しかし、課金方式が見直されても、携帯電話には「帰属地」付きという慣例が根強く残っているため、地域間をまたがった課金や、地域間のサービスをセットとした料金プランはほとんど見当たらなかった。そもそも、問題の本質は通信会社の組織運営にあると思われる。

#「異地同享」の利用者のインタビュー:
「家族が河北省に住み、私は天津市駐在で仕事をし、北京にもよく出張しているため、3つの地域でそれぞれの帰属地の携帯電話番号を持っている。ブロードバンドにも加入したいと思ったところに中国聯通社の営業マンから連絡があり、地域間をまたがった料金プランが出たというので加入した。これで、私がどこにいようが家族のブロードバンドが切れることなく、両親と子供のオンライン学習も日常生活も支障が出る心配がなくなった。」

5Gによる社会基盤が整えつつも、古い制度や運営体制の見直しが迫られているという現実を垣間見た。

引用:
https://mp.weixin.qq.com/s/MUHxASV0wkmIUH5RChU29w

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